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天明屋尚「韻」展 [Exhibition]

今週10日より市谷田町のミズマアートギャラリーにて始まった天明屋尚 個展
http://mizuma-art.co.jp/exhibition/1346510201.php
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現代の侍を彷彿とさせる黒髪の侠達が変わり兜を纏った異相の馬と虎に跨がり、絡み合い闘う群像劇を描いた2点の大作は力強く、またその緻密で丁寧な書き込みにより見るものに感動を覚えさせるレベルの秀作に仕上がっていました。

もともとは商業デザイナーをしていた天明屋。2000年に日本伝統絵画を独自の表現で転成させる「ネオ日本画」を標榜しデビュー。数年前の表参道スパイラルでの「BASARA」展などのキュレーションなども含め、権威主義的な美術体制に対して絵で戦う流派「武闘派」を掲げています。

その反骨精神に根ざした彼の表現を感じさせる2点の大型平面作品であります。
ぜひ一度その目で、実物をごらんくださいと、おすすめできる作品です。
同時に展示されていた竜安寺の庭のようなインスタレーションは鑑賞者がどう解釈するかにより、異なるとおもいますが私にとっては2点の平面作品だけで充分だと思いますが・・・・。

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この戦闘機の作品は初期の頃のモノですが、今見ても感動しますね。
この頃のようなPOPさは多少失われつつありますが、独自のスタイルを貫く姿勢は立派です。
ちなみにこのあたりの作品、もう手が届かない価格になっちゃたんだろうな・・・。



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「キュレーションの時代」佐々木俊尚 著 [BOOK]

「キュレーションの時代」佐々木俊尚著を読み直してます。
その中の一章をアウトサイダーアートの画家ヘンリー・ダガーを引き合いに出して語ってます。

私のブログでもダガーに関しては何度か書いてますが、ダガーをご存じない方のためにご紹介します。
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彼は正規の美術教育を受けておりません。1982年にシカゴで生まれ、三歳で母親と死別し、孤児院に預けられたのですが、奇妙な行動が多かったことから精神遅滞がないにもかかわらず知的障害者の施設に送られました。
17歳の時に施設を脱出しシカゴに戻り、その後50年にわたってあちこちの病院で清掃人や皿洗いの仕事を続け、70歳を過ぎて年金で暮らしながら81歳でなくなるまで孤独に暮らしました。

彼が暮らしていたアパートの大家ネイサン・ラーナーがたまたま著名な写真家であったことから、ダガーが生涯書きためていた15,000ページにも及ぶ奇妙な小説と数百枚の挿絵を発見。そこに「アート」を見いだしたことから、変人ダガーの妄想の産物はアートとして世の中に公表される結果となりました。

つまりダガーの「コンテンツ」に対してラーナーが「コンテキスト」を付与したということなのです。
(コンテキストとは「文脈」という意味の英語で、文脈や背景となる分野によってさまざまな用例がある言葉であるが、一般的に「文脈」と訳されることが多い。文脈により「脈絡」、「状況」、「前後関係」、「背景」などとも訳される。)

欧米では知的な「しかけ」や「ゲーム」を楽しむというのが、芸術に対する基本的な姿勢です。欧米で芸術作品を創作する上での不文律は、「作品を通して芸術史での文脈を作ること」です。

つまり、ダガーの「コンテンツ」に対して「コンテキスト」を付与し、現代の芸術史に文脈を作れれば、立派なアートになり得るのです。
この「コンテキスト」を付加する作業を「キュレーション」、作業する人を「キュレーター」といいます。

通常作り手は表現者であるのと同時に、自分の作品がどのようにして今の時代に受け入れられるのか、どうプロモーションしていけば良いのかという、編集的、ビジネス的なセンスまで求められます。
そういうわけで、村上隆などは、天才的なアーティストであると同時に、きわめて優秀なキュレーターでもあるわけです。

そして現代は「キュレーターの時代」と言われています。

一次情報を発信することよりも、その情報が持つ意味、可能性、その情報が持つ「あなただけにとっての価値」、そういうコンテキストを付与できる存在の方が重要性を増してきている。

と、著者は語っています。

また、最近は一次情報と同じくらい、もしくは以上に加工された二次情報がおもしろく、そのような作品はネットの世界ではあちらこちらで見受けられます。

先日も書きましたが、例えばコミックマーケットなどで話題のコスプレイヤー。この手のジャンルにも非常に可能性を見いだしております。
また最近は2次使用や版権をフリーにした多くの試みが行われており、きっと第二の「初音ミク」が続々と誕生するのではないかと期待しております。
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奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている [Exhibition]

先月の23日で終わってしまったのですが、横浜美術館で奈良美智の個展『奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている』が開催されていました。

奈良氏にとって2度目の横浜美術館の個展ですが、最初の2001年の個展も素晴らしかったのですが、それ以上に素晴らしく、また観客の多いこと。特に女性ファンの多さが目につき、改めて奈良美智の凄さを知らされてしまいました。
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美術手帖に特集されているインタビュー記事を読むと、昨年の震災以降は一時何も画けなくなった時期もあったそうです。また、あまりにも売れすぎたためか、いわれもない誹謗中傷や不当な評価などに苦しんできた10年であったようです。
特に初期の頃は、絵柄が可愛い女の子のせいあり、単なるイラストとして扱われ、女性ファンが沢山ついてしまったこともあり、アートとしての評価されない苦悩はたやすく想像できます。
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また作家自身が自覚してるように、2001年の個展の時の作品はあくまで自分の分身であったのですが、この10年での活動をとおして単なる自分の分身でなく、ちゃんと美術の歴史の中でその位置を確認しつつ制作された作品であると感じられました。

そういう意味でも今回特に2011年以降の作品が主体だったのですが、昔の作品と比較して格段に「強さ」を感じ取れました。
可愛いかどうかは個人差もあるのでしょうが、私にとっては、奈良の成長を実感できた素晴らしい展覧会でした。「継続は力なんですね、やっぱり。」

なお、この展覧会はこのあと青森を巡回し、熊本へ行くようです。
http://www.nara2012-13.org/message/





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