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「キュレーションの時代」佐々木俊尚 著 [BOOK]

「キュレーションの時代」佐々木俊尚著を読み直してます。
その中の一章をアウトサイダーアートの画家ヘンリー・ダガーを引き合いに出して語ってます。

私のブログでもダガーに関しては何度か書いてますが、ダガーをご存じない方のためにご紹介します。
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彼は正規の美術教育を受けておりません。1982年にシカゴで生まれ、三歳で母親と死別し、孤児院に預けられたのですが、奇妙な行動が多かったことから精神遅滞がないにもかかわらず知的障害者の施設に送られました。
17歳の時に施設を脱出しシカゴに戻り、その後50年にわたってあちこちの病院で清掃人や皿洗いの仕事を続け、70歳を過ぎて年金で暮らしながら81歳でなくなるまで孤独に暮らしました。

彼が暮らしていたアパートの大家ネイサン・ラーナーがたまたま著名な写真家であったことから、ダガーが生涯書きためていた15,000ページにも及ぶ奇妙な小説と数百枚の挿絵を発見。そこに「アート」を見いだしたことから、変人ダガーの妄想の産物はアートとして世の中に公表される結果となりました。

つまりダガーの「コンテンツ」に対してラーナーが「コンテキスト」を付与したということなのです。
(コンテキストとは「文脈」という意味の英語で、文脈や背景となる分野によってさまざまな用例がある言葉であるが、一般的に「文脈」と訳されることが多い。文脈により「脈絡」、「状況」、「前後関係」、「背景」などとも訳される。)

欧米では知的な「しかけ」や「ゲーム」を楽しむというのが、芸術に対する基本的な姿勢です。欧米で芸術作品を創作する上での不文律は、「作品を通して芸術史での文脈を作ること」です。

つまり、ダガーの「コンテンツ」に対して「コンテキスト」を付与し、現代の芸術史に文脈を作れれば、立派なアートになり得るのです。
この「コンテキスト」を付加する作業を「キュレーション」、作業する人を「キュレーター」といいます。

通常作り手は表現者であるのと同時に、自分の作品がどのようにして今の時代に受け入れられるのか、どうプロモーションしていけば良いのかという、編集的、ビジネス的なセンスまで求められます。
そういうわけで、村上隆などは、天才的なアーティストであると同時に、きわめて優秀なキュレーターでもあるわけです。

そして現代は「キュレーターの時代」と言われています。

一次情報を発信することよりも、その情報が持つ意味、可能性、その情報が持つ「あなただけにとっての価値」、そういうコンテキストを付与できる存在の方が重要性を増してきている。

と、著者は語っています。

また、最近は一次情報と同じくらい、もしくは以上に加工された二次情報がおもしろく、そのような作品はネットの世界ではあちらこちらで見受けられます。

先日も書きましたが、例えばコミックマーケットなどで話題のコスプレイヤー。この手のジャンルにも非常に可能性を見いだしております。
また最近は2次使用や版権をフリーにした多くの試みが行われており、きっと第二の「初音ミク」が続々と誕生するのではないかと期待しております。
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