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「桑原正彦」展 [Exhibition]

ブログの更新をさぼっていたので、数週間前に見た展覧会の感想です。

清澄白河の小山登美夫ギャラリーの「桑原正彦」展。

淡い色調の大画面に夢のような、少女や動物たちの楽園風景ですが、よくみるとなんとも稚拙な描き方で、しかも豚のような不細工な少女が登場したり、なんとも不思議な絵です。
Kuwahara-Masahiko-pigozzi-collection-297.jpg
一見すると、その下手さ加減に拒否反応を示したのですが、我慢して10分も眺めているとこの作家の描き方は一件下手なように見せかけたたしかな技術の裏付けで成り立っています。確信犯的な描き方は作者の臣を伝えるには必要な表現だったのでしょう。
そう思いながら見てると、逆にこの絵がいとおしくなるので不思議です。
40256bd7.jpg
コミカルでゆるいモチーフ、軽妙なタッチが幸せな世界感を醸す桑原の作品を評して美術評論家の椹木野衣氏はさすがプロという批評をしてます。そのまま引用します。

桑原の絵は、それが形式的には絵画であるとしても、それを見る経験は容易には「絵画」や「平面」に還元できない。そのオーバーフローを生み出すのは、画面での絵具の扱いがそれこそ印象派から後期印象派、そして抽象表現主義に至る流れの中で習得的になされているにもかかわらず、そこにたたずむ女の子の像はと言えば、画面に完全に溶け込む寸前で(ほんとうに微妙な瞬間で)偶像的(イドラ=アイドルとして)に残されていて、見る者に夢のように幸せな記憶を呼び覚まし(むろん、それは耐え難い記憶の裏返しでもある)、画面とそこに投影される思いとの間に物理的とはいえない容量の場をつくりだす。
 (椹木野衣「桑原正彦展『とても甘い菓子』絵画からオーバーフローする印象と偶像」リバティーンズ、2010年、p.138)

しかし、今回このような絵を、私自身が受け入れられたことが一番の驚きかもしれませんが。


タグ:ゆるい
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